OverTheBorder

直線と面が支配する、澁谷忠臣の独創的な世界

ファッション、音楽、アート、各界から支持を集める澁谷忠臣……直線と面が生み出すその魅力に迫る。

絵を描くとき、その第一歩となるのは“線”。
それは天才も凡人も誰もが同じ。

 

とはいえ、線と言っても侮るなかれ。現代アートの世界では一本の線に大きな価値がつくこともある。その代表的な例がアメリカの美術家バーネット・ニューマン。彼がコバルトブルーのキャンパスにただただ1本の白い線を描いた作品「Onement VI」は、1953年サザビーズのオークションでなんと4380万ドルもの大金で落札されている。いまや線もアートになる時代なのだ。

 

しかし、それはあくまで極端な例。バーネット・ニューマンの究極的にシンプルな作風はさておき、絵の描き出しは縦、横、ななめ、どんな風に始めてもいいものだが、そこでいろいろな意味でやっかいなのが“直線”。

やっかいというのは、フリーハンドで直線を描くこともそうだし、もしきれいに直線を描けたとしても、それをその後どうすべきかというのもやっかいだ。なぜなら、生物や風景にはえてして直線なんてほとんど存在しない。基本曲線で構成され、直線的なのは人工物のみ。

 

そんなやっかいな直線を、絵画におけるもうひとつのファクターとなる“面”とともに巧みに駆使して描く対象を“再構築”するアーティストがいる。それは澁谷忠臣。

直線的なアーティストと聞いて、19〜20世紀に活躍したオランダのモンドリアンを思い浮かべる人も多いと思うが、澁谷の作品は彼のように幾何学的な抽象画ではない。その作品の多くは人物なり、動物なり、基本直線が存在しえない生物の特徴を見事におさえ直線と面で描きあげる。その独特なスタイルは様々な分野から高く評価され、2008年には世界的ファッションブランドGIVENCHYのエンブレムデザインを制作。そして、2011年にはNIKE AIR JORDAN CP3.IVのポスター、Tシャツなどビジュアル全般を担当し、翌年にはアメリカNFLレッド スキンズのQB ロバート・グリフィンを描いたイラストはワシントンポスト特別号の一面を飾ることに。


その後も、adidas Team Messiのキャンペーンで世界トップのサッカー選手FCバルセロナのリオネル・メッシのイラストを書き下ろしたり、再びNIKE JORDAN BRANDのTシャツをデザインしたり、さらには日本人ラッパーANARCHYのアルバム「NEW YANKEE」のジャケットのアートワークを担当したり。昨年は新潟市の依頼などで巨大なミューラル(壁画)を多数手掛けている。

その他にも国内はもとより、ロンドン、NY、LA、台北など世界各地の展示に参加するなど、ジャンルや国境を超え支持を集めている澁谷忠臣。前述のバーネット・ニューマンやモンドリアンのような抽象画ではなく、どこかパブロ・ピカソが生み出したキュビズムにも通じる部分を感じさせながらも現代的かつスタイリッシュ。さらにはストリート、ヒップホップ的な感性をも併せ持ち、なおかつ未来感をも匂わせる、いわば“Over The Border(既存の概念を超えた)”とも言える彼のスタイルはまさにオンリーワン。

そんな澁谷忠臣の作品群が、このたび6月29日(木)に東京、7月1日(土)に大阪で開催される『BACARDÍ “Over The Border” Launch Party』で一堂に展示される。直線と面が生み出すソリッドな魅力、そしてダイナミズム、それをぜひ会場で感じてほしい。

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