OverTheBorder

“既存の概念を超えろ” 越境した表現者たちが交わる一夜限りの音楽とアートの祭典

先鋭的な音楽とアートが交差する、バカルディ主催の完全招待制フリーパーティー「BACARDÍ “Over The Border”2018」のレポート

先鋭的な音楽とアートが交差/越境する、バカルディ主催の完全招待制フリーパーティー「BACARDÍ “Over The Border”」が、11月5日(月)話題のニュースポット、渋谷ストリーム ホールにおいて開催された。

その期待の高さもあって、オープン前から長蛇の列となったこの日。

廃材や流木などといった無機物/有機物を組み合わせたR領域による独創的な装飾がエントランスで出迎える。それを抜けて中へと足を進めていくと、今回の「BACARDÍ “Over The Border”」のメインヴィジュアルも手がけたアーティスト、JOE CRUZによる特大の壁面アートが目の前に現れる。トランスジェンダーのカップルがキスをしている、印象的な作品だ。「Over The Border=既存の概念を超える」を掲げる一夜は、こうして幕を開けた。

渋谷ストリーム ホールは4・5・6階の3フロア構成となっており、エントランスもあった4階をDJラウンジ&ギャラリースペース、5階はギャラリー&モヒートワークショップ、そして6階のホールにおいてライブパフォーマンスが展開。それぞれを回遊しながら堪能できる構成だ。

    

4階フロアではJOE CRUZをはじめ、ベルリンを拠点に世界中で壁画制作を行うHiroyasu Tsuri a.k.a. TWOONEの見る角度により作品の見え方が変わるアートや、KOSUKE KAWAMURAによるUS ドルをシュレッダーにかけた作品、日本特有の精神性をアブストラクトな線で描くJUN INOUEのアートピースがそれぞれ展開された。どの作品もエネルギーに満ちていて、その熱に引き込まれるように、巻き込まれるようにオーディエンスの体温もぐっと上昇していく。合わせてDJブースも設置され、まずはLil Mofoがプレイ。インダストリアルなテクノやロウハウスを響かせ、それらはそこに在るアート作品とも共振するかのような生々しい肌ざわりで、だからこそアートの放つ世界観にも没入していくことができる。

5階フロアでは、東京ベースのクリエイティブチームYARによるブラウン管を使用したインスタレーションが繰り広げられ、過去から見た近未来のような世界が広がる。暗い空間のなかポッと浮き出るように複数台のブラウン管テレビが並べられ、その画面を抽象的に映像が(旅を促すかのように)動いてゆく。また、別の壁面にはNaohiro Yakoによる都市の近未来的な夜景写真が並べられることで、ふと異なる時空間に迷い込んだような気分になる。

それを抜けていくと、フロアの奥では「BACARDÍ “Over The Border”」恒例とも言える、モヒートのワークショップが開催。フレッシュなミントに、好みの果物を組み合わせてモヒートを作ることができるという大人気企画だ。思い思いのオリジナルモヒートを作りながら、ラムの新たな魅力も発見できる。こうやって新しい体験をすることでまた、自分という枠も広がっていくものだ。

  6階のホールは、エントランスも飾ったR領域と、多数のミラーボールを用いて幻想的な空間を現出させるMIRRORBOWLERが空間を拡張するようにデコレーションを施すことで、場も人も上昇させていく。

 

まずはLAを拠点とし、未来的な音楽を届ける新進レーベル〈Soulection〉のメンバーとしても活躍するDJ/セレクターのYukibebからスタート。一夜の流れのなかで重要な起点となる“オープニングDJ”だ。ヒップホップ・クラシックスから入って、ゆっくりとフロアとオーディエンス、音楽を馴染ませていく、さすがのプレイだ。

 

世界に誇るハードディガーとして知られるDJ KOCO a.k.a. ShimokitaはJUN INOUEとの“DJ×ライブペインティング”のコラボレートを披露。ソウル〜ディスコ〜ヒップホップ〜ラテン〜ジャズと縦横無尽に繰り出されるDJプレイ(もちろん7インチ!)と切れ味鋭いスクラッチ、カットインにシビれていると、それに導かれるように巨大なキャンバスに大胆に描いていくJUN INOUE。ヒリヒリとした緊張感のなか、お互いが呼応するようにひとつの空間を作り上げていくさまに魅了される。

 

3フロアを回遊するように4階に戻ってみるとDJ SARASAがプレイ中。ハウスのリズムを軸にラガやラテンにも展開させながら、陽気でキャッチー、でもしっかり地に足つけた選曲・展開は見事だ。“ウェルカム感”とでも言おうか、その場のみんなを迎え入れては笑顔にして踊らせる。そのあとは新世代のハウス〜ディスコを提唱するYOSA & TAARが、まったりゆったりと着地させる。頭上にはMIRRORBOWLERによるミラーボールがキラキラと乱反射していて、目を奪われる。

6階ストリームホールに続いて登場したのは、ウガンダから初来日となるKampire。いま最も注目を集める“東アフリカ発のエレクトロニック・ミュージック”の立役者となっているDJだ。その1曲目からビートが気持ちよくて、ハウスのビートとアフリカンの陽気さが充満していく。モヒート片手に昂揚した気分とこの音楽、その相性の良さといったら! かといってアッパーになりすぎることなくディープに仕上げていったのはKampireだからこそ、の流れだ。

ラストは新世代ヒップホップ・シーンを代表するフィメールラッパー、Little Simzが登場。大歓声に迎えられてステージに現れるや、そこからは独壇場。腰にクるベースラインと畳み掛けるラップにオーディエンスもハンズアップで応えて、熱気も最高潮。ときにグライムゆずりのアグレッシブさで攻めたて、ときにラフにメロウに聴かせる。生命力に満ちたステージが、この夜を有終の美へと向かわせた。

 

音楽、アート、そしてパーティー。表現方法は違えども、Over The Border=既存の概念を超えて、未来へとアップデートしていくという思い/行為がみなぎった夜となった。

 

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